子どもが学校に行けなくなったとき、家以外の居場所として多くの保護者が調べるのがフリースクールです。ただ、費用はどれくらいかかるのか、補助はあるのか、学校の出席として認められるのかなど、通う前に知っておきたいことは少なくありません。
この記事では、神奈川県でフリースクールを探している保護者の方に向けて、市町村ごとに違う利用料の補助、出席扱いの考え方、県とフリースクールの連携協議会、教育支援センターや学びの多様化学校などの公的な居場所、相談先をまとめます。
この記事の要点
- 神奈川県の公立小・中学校の不登校の子は、令和6年度に24,250人でした。中学生では約14人に1人にあたります。
- フリースクールの利用料の補助があるかどうかは、住んでいる市町村によって違います。県が市町村を支える仕組みで、相模原市・藤沢市・鎌倉市・海老名市・葉山町・二宮町が月1万〜2万円を上限に補助しています。
- フリースクールに通う日は、在籍校の校長が認めれば出席扱いになります。出席扱いになると通学定期券も使えます。
- 県と38のフリースクールなどが連携協議会をつくっていて、県が連絡先の一覧を公表しています。教育支援センターは県内に64か所あります。
この記事の情報について:神奈川県と県内の市町村の制度は、2026年11月2日に神奈川県・神奈川県教育委員会・横浜市・川崎市・相模原市と補助を行う市町の公式ページと資料で確認しました。全国の数字と出席扱いの考え方は文部科学省の資料によります。制度は年度ごとに変わることがあるため、利用する前に窓口で確かめてください。
神奈川県の不登校の状況
神奈川県の発表によると、県内の公立小・中学校で不登校の児童生徒は、令和6年度に24,250人でした。前年度より621人増えています。中学校では在籍する生徒の7.12%で、約14人に1人にあたります。
| 不登校の人数 | 在籍者に占める割合 | |
|---|---|---|
| 小学校 | 10,192人 | 2.40% |
| 中学校 | 14,058人 | 7.12% |
| 合計 | 24,250人 | 3.90% |
県の手引きによると、不登校の子のうち54.5%は年間90日以上欠席しています。
出典:神奈川県「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」、神奈川県教育委員会「教育支援センターを中心とした不登校対策の手引き」(2026年11月2日確認)
フリースクールと教育支援センターの違い
学校に行けないときの居場所は、大きく分けて、民間が運営するフリースクールと、市町村の教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)の2つがあります。神奈川県でも、どちらを選ぶかで費用や過ごし方が変わります。
| フリースクール | 教育支援センター(適応指導教室) | |
|---|---|---|
| 運営 | NPO法人・一般社団法人・株式会社・個人など | 市町村の教育委員会 |
| 費用 | 施設ごとに決まる。月謝・入会金がかかることが多い | 原則として無料 |
| 過ごし方 | 自由に過ごす、体験活動、個別の学習など施設ごとに違う | 学習の支援と相談が中心 |
| 対象 | 小学生から高校生まで。施設ごとに決まる | 主にその市町村の公立小・中学校に在籍する子 |
| 出席扱い | 在籍校の校長が、教育委員会と連携して判断する | 在籍校の校長が判断する。出席扱いを判断するときの施設は、公的機関が原則とされている |
文部科学省の通知では、出席扱いの判断をするときの施設は、教育支援センターなどの公的機関が原則とされています。公的機関に通うのが難しい場合や、本人と保護者が希望する場合には、民間の施設も考えられるとしています。
出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記1(2026年11月2日確認)
フリースクールの費用の目安
フリースクールの費用は施設ごとに決まっていて、月謝のほかに入会金や教材費、活動費がかかることがあります。文部科学省が全国の民間の団体・施設に行った調査(平成27年3月時点)では、会費を集めている施設の月額の平均は約3万3千円、入会金の平均は約5万3千円でした。
調査から年数がたっているため、今の金額は施設の案内で確かめてください。週に何日通うか、何時間いるかで料金が変わる施設もあります。
出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(2026年11月2日確認)
神奈川県のフリースクールの費用の補助
神奈川県には「フリースクール等利用児童・生徒支援事業」があります。ただし県が保護者に直接払う制度ではなく、保護者に補助する市町村を、県が補助する仕組みです。そのため、補助を受けられるかどうかは住んでいる市町村によって決まります。県のページでは、次の6市町が事業を行っています。
| 市町 | 補助の額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 相模原市 | 月2万円まで | 市内在住で市内の学校に在籍。市に登録されたフリースクール(33施設)に月1回以上通う。事前登録が必要で、申請は上半期分が10月、下半期分が3月 |
| 藤沢市 | 月1万円まで | 市内在住。市に登録されたフリースクールに月1回以上通う。事前登録が必要 |
| 鎌倉市 | 利用料の2分の1、月1万3千円まで | 市内在住。市が認めた施設に在籍している |
| 海老名市 | 授業料の2分の1、月1万5千円まで | 市内在住で、おおむね30日以上登校していない。週1日以上利用 |
| 葉山町 | 利用料の2分の1、月1万5千円まで | 町立小・中学校に在籍。町が認めた施設に通う(オンラインだけの学校は対象外) |
| 二宮町 | 利用料の3分の2、月1万5千円まで | 町内在住で町立小・中学校に在籍。申請前1年以内におおむね30日以上欠席し、月1回以上利用 |
どの市町も、対象になるのは市町が登録・認定した施設などに限られます。通いたいフリースクールが対象になっているか、申請の期限はいつかを、市町の窓口で確かめてください。横浜市と川崎市には、利用料の補助は公表されていません(2026年11月時点)。
出典:神奈川県「フリースクール等利用児童・生徒支援事業」、相模原市、藤沢市、鎌倉市、海老名市、葉山町、二宮町(2026年11月2日確認)
フリースクールに通う日は出席扱いになるか
フリースクールに通った日を、在籍している小・中学校の出席として扱うかどうかは、在籍校の校長が判断します。文部科学省の通知では、次のような要件を満たし、社会的な自立をめざす取り組みと評価できる場合に、出席扱いにできるとしています。
- 保護者と学校とのあいだに、十分な連携・協力関係があること
- 民間の施設の場合は、その子にとって適切かどうかを、校長が教育委員会と連携して判断すること
- 施設に通う、または入所して相談・指導を受けていること
全国では令和6年度に、学校外の機関で指導を受けて出席扱いになった小・中学生が42,978人いました。出席扱いにしてもらうには、通い始める前に在籍校の担任や校長に相談し、施設での様子を学校と共有する方法を決めておくと進めやすくなります。
出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」(2026年11月2日確認)
神奈川県と横浜市の出席扱いの考え方
神奈川県教育委員会は、教職員向けのリーフレットで、保護者と学校の十分な連携、施設での相談・指導が適切かどうかの校長の判断などを、出席扱いの要件として示しています。同じ資料では、県内で民間施設の相談・指導を受ける子は増えている一方、出席扱いになった子は1,600人ほどで横ばいだとしています。
県と学校・フリースクール等連携協議会がつくった冊子では、在籍校の校長が認めると出席扱いになり、出席扱いになると通学定期券の制度も使えると案内しています。まずは在籍校に相談するところから始めます。
横浜市教育委員会は「民間教育施設についてのガイドライン」(令和8年4月改訂)を公表しています。保護者が確かめたい点として、施設と定期的に連絡をとれるか、入会金や授業料などの費用が明示されているかなどを挙げています。
出典:神奈川県教育委員会「児童・生徒一人ひとりの多様な学びを大切にしたい」、神奈川県学校・フリースクール等連携協議会・県教育委員会「不登校児童・生徒の将来の社会的自立や学校生活の再開に向けて」、横浜市教育委員会「民間教育施設についてのガイドライン」(2026年11月2日確認)
神奈川県の公的な居場所と相談先
教育支援センター(適応指導教室)
神奈川県内には、市町村が設ける教育支援センターが64か所あります(令和8年4月時点)。横浜市に13か所、川崎市に6か所(ゆうゆう広場)、相模原市に8か所あります。県の手引きによると、教育支援センターで相談・指導を受けた子のうち、出席扱いになったのは63.2%(令和5年度)でした。
川崎市子ども夢パーク(高津区)の「フリースペースえん」も、平日に開いている不登校の子の居場所です。市の施設で、NPO法人フリースペースたまりばなどの事業体が指定管理者として運営しています。
出典:神奈川県「教育支援センター一覧」、神奈川県教育委員会「教育支援センターを中心とした不登校対策の手引き」、川崎市「子ども夢パーク 指定管理者評価シート」(2026年11月2日確認)
学びの多様化学校(不登校特例校)
学びの多様化学校は、不登校の子に合わせて授業時間や教育課程を工夫できる学校です。文部科学省の一覧では、神奈川県内に次の5校があります。
| 学校 | 設置者 |
|---|---|
| 鎌倉市立由比ガ浜中学校(令和7年4月開校、市内在住の子が対象) | 鎌倉市 |
| 大和市立引地台中学校分教室(大和市在住の子が対象) | 大和市 |
| 星槎中学校 | 学校法人 |
| 星槎高等学校 | 学校法人 |
| 横浜きりん学園 | 学校法人 |
相模原市も、令和11年4月に学びの多様化学校を開校する予定です。
出典:文部科学省「学びの多様化学校について」、相模原市「(仮称)さがみはら学びの多様化学校」(2026年11月2日確認)
自宅から参加できるメタバースの居場所
神奈川県は、家から出ることが難しい県内の子が、自宅のパソコンなどからアバターで参加できる「メタバースを活用した居場所」を開いています(令和8年度は平日13時30分〜16時30分)。横浜市も、市内の小・中学生を対象に「メタバースキャンパス」を始めています。どちらも、在籍校などを通して案内を受けます。
出典:神奈川県「メタバースを活用した居場所」、横浜市「メタバースキャンパス」(2026年11月2日確認)
相談窓口
- 県立総合教育センター「不登校ほっとライン」:0466-81-0185(平日8時45分〜16時45分、匿名でも相談できる)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
- 横浜市 一般教育相談:045-624-9414(平日9時〜17時)
- 川崎市 総合教育センター 教育相談センター:044-844-3700
- 相模原市 教育相談課:042-769-6144
出典:神奈川県立総合教育センター「不登校ほっとライン」、横浜市「不登校支援」、川崎市「不登校家庭訪問相談」(2026年11月2日確認)
フリースクールの一覧を探すとき
神奈川県では、平成18年から「神奈川県学校・フリースクール等連携協議会」が活動していて、令和8年度は県内13市町の38団体が加わっています。県はこの38団体の連絡先を一覧で公表しています。県は、教育委員会とフリースクールが一緒に開く相談会や、保護者と子どもも参加できるフリースクール等見学会も開いています。
相模原市は、市に登録されたフリースクールの一覧を公表しています。補助を使いたい場合は、この一覧に入っているかを確かめてください。
出典:神奈川県「学校・フリースクール等連携協議会 加入フリースクール等一覧」、神奈川県「フリースクール等見学会」、神奈川県「不登校に関する相談・情報」、相模原市「フリースクール等利用児童生徒支援事業補助金」(2026年11月2日確認)
神奈川県のフリースクールの紹介
ここでは、神奈川県のフリースクールを、施設に内容を確かめていただいたうえでご紹介します。料金や開いている時間は変わることがあるので、見学や申し込みの前に、各施設の公式サイトで確かめてくださいね。
小さなおうちの学校(川崎市中原区、武蔵小杉駅・新丸子駅から徒歩すぐ)
新丸子駅のすぐそばにある、小学生と中学生のための小さな学び場です。朝は、その日の気分や予定を言葉にするところから始まります。午前は基礎の勉強から、それぞれが気になるテーマの探究へ。お昼のあとは近くの土手や公園へ散歩に出ます。料理や季節の遠足、工作の日もあります。
「午前中だけ」「週1日だけ」という通い方から始められるので、いきなり毎日通うのが難しい子も、様子を見ながら通えます。オンライン+通所のコースもあります。元教員のスタッフが在籍校との連携を手伝っていて、出席扱いとして認められるケースも多いそうです。都内から通う家庭も多く、東京都の利用料の助成の申請もスタッフがサポートしています。2028年度からは、通信制高校のサポート校になる予定です。
小学生クラス:週2日 9:00〜14:00、月42,900円/中高生クラス:水曜 9:00〜14:00、月40,000円〜/入会金・教材費なし/無料の個別相談・見学会あり(2026年11月5日時点)
日本サマーヒル・アカデミー(座間市相模が丘)
小・中学生が通うフリースクールです。名前は、英国のサマーヒル・スクールの教育思想に共感してつけられたもので、「きみのペースで、きみらしく。」を掲げています。
午前は基礎学習や個別学習の時間で、終わった子からフリータイムに入ります。午後は情報リテラシーやレゴのレッスン(外部講師)など、日によって内容が変わります。体操・レゴ・アート・プロゲーミング・英語・空手などのカルチャー教室もあり、マンスリー会員は特別価格で受講できます。ギフテッドの子どもの受け入れも行っています。
最寄り駅:小田急相模原駅・相武台前駅/9:00〜17:00(コアタイムは15:30まで)/マンスリー会員 月55,000円、ライト会員 月13,200円(月4回まで)/見学・面談は随時受付(2026年11月5日時点)
湘南ベースレインボー(藤沢市鵠沼桜が岡)
2025年に開校したフリースクールです。湘南地区の本鵠沼駅より徒歩2分。1時間目が8:45に始まり、6時間目が15:05に終わる、学校に近い時間割ですが、何時に来るかは自分で選べます。勉強には、文部科学省の出席扱いの条件を満たしたICT教材を使います。ディスカッションや実験、スポーツ、自然体験も取り入れる方針で、BBQやゲーム大会などのイベントも増やしていく予定です。
同じ教室には、個別指導、プログラミング、英語強化、英検対策のコースがあり、大人向けの英会話教室も開いています。
対象:小学生・中学生/月33,000円(利用回数の制限なし)、入学金55,000円、諸費 月3,300円(税込)/見学・体験入学あり(2026年11月5日時点)
フリースクールを選ぶときに確かめること
フリースクールは、施設ごとに考え方も過ごし方も大きく違います。見学や体験のときに、次の点を確かめておくと比べやすくなります。
見学・体験で確かめること
- 子どもが自由に過ごす時間が中心か、学習の時間が決まっているか
- 通える曜日と時間、週に何日から通えるか
- 月謝・入会金・教材費・活動費と、補助の対象になるか
- 在籍校との連絡のしかたと、出席扱いの相談に応じてもらえるか
- スタッフの人数と、相談できる専門職(心理職など)がいるか
- 家からの距離と通い方、送り迎えが必要か
- 高校進学など、その先の進路の相談ができるか
いちばん大切なのは、子ども本人が「ここなら行ってみたい」と思えるかどうかです。最初から1つに決めず、いくつかの施設を見学してから選ぶと、子どもに合う場所を見つけやすくなります。
中学校を卒業したあとの進路
中学生の場合は、その先の高校進学もあわせて考えておくと安心です。神奈川県は、県内各地で不登校相談会と進路情報説明会を開いています。自分のペースで学べる通信制高校を選ぶ人もいます。
神奈川県の通信制高校のキャンパスと学費の目安は、「横浜の通信制高校一覧」でまとめています。全国の地域別の一覧は「通信制高校の一覧を地域から探す」から探せます。
よくある質問
- 神奈川県でフリースクールの利用料の補助はありますか?
- 住んでいる市町村によります。相模原市・藤沢市・鎌倉市・海老名市・葉山町・二宮町が月1万〜2万円を上限に補助しています。横浜市と川崎市には、利用料の補助は公表されていません(2026年11月時点)。
- 補助はどのフリースクールでも使えますか?
- いいえ。多くの市町は、市町が登録・認定した施設に通う場合に限っています。通いたい施設が対象か、市町の窓口で確かめてください。
- フリースクールに通った日は出席になりますか?
- 在籍校の校長が判断します。出席扱いになると通学定期券も使えます。まず担任や校長に相談してください。
- フリースクールの費用はどのくらいですか?
- 施設ごとに違います。文部科学省の調査(平成27年)では、月額の会費の平均は約3万3千円、入会金の平均は約5万3千円でした。
- どこに相談すればよいですか?
- 在籍校のほか、県立総合教育センター「不登校ほっとライン」(0466-81-0185)や、横浜市・川崎市・相模原市の教育相談の窓口に相談できます。
中学生で、高校受験のときの欠席や内申の扱いが気になる場合は、「不登校でも高校受験はできる?」で、47都道府県の公立高校入試の配慮の制度を比べています。
まとめ
神奈川県では、フリースクールの利用料の補助は市町村ごとに違い、相模原市など6市町が月1万〜2万円を上限に補助しています。補助の対象は登録・認定された施設に限られることが多いため、住んでいる市町村の条件を先に確かめてください。
県は38のフリースクールなどと連携協議会をつくり、相談会や見学会も開いています。見学で子どもとの相性を確かめ、通い始める前に在籍校へ相談して、出席扱いの手続きを進めておくと安心です。
この記事の制度・数字は、2026年11月2日に神奈川県・神奈川県教育委員会・横浜市・川崎市・相模原市・藤沢市・鎌倉市・海老名市・葉山町・二宮町・文部科学省の公式ページと資料で確認したものです。


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