埼玉のフリースクールの選び方と支援制度 利用料の補助・出席扱い・相談先

埼玉のフリースクールの選び方と支援制度

子どもが学校に行けなくなったとき、家以外の居場所として多くの保護者が調べるのがフリースクールです。ただ、費用はどれくらいかかるのか、補助はあるのか、学校の出席として認められるのかなど、通う前に知っておきたいことは少なくありません。

この記事では、埼玉県でフリースクールを探している保護者の方に向けて、県とさいたま市の支援制度、出席扱いの要件、教育支援センターや学びの多様化学校などの公的な居場所、県と市が公表しているフリースクールの一覧、相談先をまとめます。

この記事の要点

  • 埼玉県の公立小・中学校の不登校の子は、令和6年度に17,038人です。中学校では1,000人あたり61.8人でした。
  • 埼玉県とさいたま市には、小・中学生がフリースクールに通う費用の補助はありません(2026年11月時点)。県は、国の責任で支援すべきという立場です。
  • フリースクールに通う日は、保護者と学校の連携などの要件を満たせば、在籍校の校長の判断で出席扱いにできます。要件は県のガイドブックにまとまっています。
  • 県内の全市町村に教育支援センターがあり、利用料は基本的に無料です。2026年4月には、さいたま市と川口市に公立の学びの多様化学校が開校しました。

この記事の情報について:埼玉県と県内の市町村の制度は、2026年11月2日に埼玉県・埼玉県教育委員会・さいたま市・吉川市・川口市の公式ページと資料で確認しました。全国の数字と出席扱いの考え方は文部科学省の資料によります。制度は年度ごとに変わることがあるため、利用する前に窓口で確かめてください。

目次

埼玉県の不登校の状況

埼玉県の調査によると、県内の公立小・中学校で不登校の児童生徒は、令和6年度に17,038人でした。前年度より1.5%増えています。1,000人あたりでは32.7人で、中学校では61.8人にのぼります。

不登校の人数 1,000人あたり 前年度の1,000人あたり
小学校 6,342人 18.2人 16.9人
中学校 10,696人 61.8人 61.7人
合計 17,038人 32.7人 31.8人

出典:埼玉県「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(概要版)」(2026年11月2日確認)

フリースクールと教育支援センターの違い

学校に行けないときの居場所は、大きく分けて、民間が運営するフリースクールと、市町村の教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)の2つがあります。埼玉県でも、どちらを選ぶかで費用や過ごし方が変わります。

フリースクール 教育支援センター(適応指導教室)
運営 NPO法人・一般社団法人・株式会社・個人など 市町村の教育委員会
費用 施設ごとに決まる。月謝・入会金がかかることが多い 原則として無料
過ごし方 自由に過ごす、体験活動、個別の学習など施設ごとに違う 学習の支援と相談が中心
対象 小学生から高校生まで。施設ごとに決まる 主にその市町村の公立小・中学校に在籍する子
出席扱い 在籍校の校長が、教育委員会と連携して判断する 在籍校の校長が判断する。出席扱いを判断するときの施設は、公的機関が原則とされている

文部科学省の通知では、出席扱いの判断をするときの施設は、教育支援センターなどの公的機関が原則とされています。公的機関に通うのが難しい場合や、本人と保護者が希望する場合には、民間の施設も考えられるとしています。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記1(2026年11月2日確認)

フリースクールの費用の目安

フリースクールの費用は施設ごとに決まっていて、月謝のほかに入会金や教材費、活動費がかかることがあります。文部科学省が全国の民間の団体・施設に行った調査(平成27年3月時点)では、会費を集めている施設の月額の平均は約3万3千円、入会金の平均は約5万3千円でした。

調査から年数がたっているため、今の金額は施設の案内で確かめてください。週に何日通うか、何時間いるかで料金が変わる施設もあります。

出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(2026年11月2日確認)

埼玉県のフリースクールの費用の補助

埼玉県とさいたま市には、小・中学生がフリースクールに通う費用を家庭に補助する制度はありません(2026年11月時点)。県議会では、教育長が「国の責任において支援すべきもの」と答弁し、国に支援を求める立場を示しています。一方で、経済的な負担が利用の壁になっていることは認識していると答えています。

県内の市町村では、吉川市が「若者に対するフリースクール利用料助成」を行っています。ただし対象は義務教育を終えてから30歳未満までの若者で、小・中学生は対象外です。助成額は月の利用料の3分の1(上限は月1万円)です。

ほかの市町村にも独自の制度ができることがあるため、住んでいる市町村の子育て・教育の窓口でも確かめてください。

出典:埼玉県議会 令和7年6月定例会 一般質問の答弁、埼玉県議会 令和7年12月定例会 一般質問の答弁、吉川市「若者に対するフリースクール利用料助成」(2026年11月2日確認)

フリースクールに通う日は出席扱いになるか

フリースクールに通った日を、在籍している小・中学校の出席として扱うかどうかは、在籍校の校長が判断します。文部科学省の通知では、次のような要件を満たし、社会的な自立をめざす取り組みと評価できる場合に、出席扱いにできるとしています。

  • 保護者と学校とのあいだに、十分な連携・協力関係があること
  • 民間の施設の場合は、その子にとって適切かどうかを、校長が教育委員会と連携して判断すること
  • 施設に通う、または入所して相談・指導を受けていること

全国では令和6年度に、学校外の機関で指導を受けて出席扱いになった小・中学生が42,978人いました。出席扱いにしてもらうには、通い始める前に在籍校の担任や校長に相談し、施設での様子を学校と共有する方法を決めておくと進めやすくなります。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」(2026年11月2日確認)

埼玉県の出席扱いの要件

埼玉県教育委員会の「一人一人の社会的自立に向けた児童生徒支援ガイドブック」(令和6年3月)には、民間施設に通う場合の出席扱いの要件が載っています。保護者と学校の連携があること、民間施設が適切かどうかを校長が教育委員会と連携して判断すること、施設に通って相談・指導を受けていることなどで、文部科学省の通知と同じ内容です。

自宅でICTを使って学習した場合も、対面での指導や計画的な学習などの要件を満たせば出席扱いにできます。ただ、県議会の答弁によると、ICTを使った学習で出席扱いになった子は、県内の不登校の子の約6%にとどまっています。県は、市町村や学校への働きかけを強めるとしています。

さいたま市教育委員会も、出席扱いについてのガイドラインを作り、市立学校に周知しています。

出典:埼玉県教育委員会「一人一人の社会的自立に向けた児童生徒支援ガイドブック」、埼玉県議会 令和8年2月定例会 代表質問の答弁、さいたま市「不登校・教育相談」(2026年11月2日確認)

埼玉県の公的な居場所と相談先

教育支援センター(適応指導教室)

埼玉県のガイドブックによると、教育支援センターは共同で利用するものも含めて県内の全市町村に設けられていて、利用料は基本的に無料です。県は市町村ごとの教育支援センターの一覧を公表しています。

さいたま市では、市内6か所の教育相談室(北・堀崎・あいぱれっと・岸町・美園・岩槻)に教育支援センターがあります。見学や面談は予約制です。市立の小・中学校には、校内の居場所として「Solaるーむ」もあります。

出典:埼玉県「教育支援センター一覧」、さいたま市「不登校・教育相談」(2026年11月2日確認)

学びの多様化学校(不登校特例校)

学びの多様化学校は、不登校の子に合わせて授業時間や教育課程を工夫できる学校です。埼玉県では2026年4月に、次の2校が開校しました。

学校 概要
さいたま市立いろどり学園(小学部・中学部) 小中一貫。本校はさいたま市立教育研究所の中にあり、ほかに市内6か所のキャンパスがある。対象は原則30日以上欠席している、またはしていた子。問い合わせは総合教育相談室 048-688-1453
川口市立芝園学園中学校 昼間部が学びの多様化学校。対象は川口市に住み、年間おおむね30日以上欠席しているか、教育支援センターなどに通い続けている生徒など。各学年15人ほど

出典:文部科学省「学びの多様化学校について」、さいたま市「いろどり学園」、川口市 報道発表資料(2026年11月2日確認)

自宅から参加できる「埼玉県メタキャンパス」

埼玉県は令和7年度から、メタバース(インターネット上の仮想空間)を使った「埼玉県メタキャンパス」を行っています。参加している市町村の公立小・中学校の子が対象で、朝の会やオンライン学習、スクールカウンセラーへの相談、博物館と連携したオンライン社会科見学などに自宅から参加できます。申し込みは在籍校に参加申込書を出します。

出典:埼玉県「埼玉県メタキャンパス」(2026年11月2日確認)

相談窓口

  • よりそうみんなの電話・メール教育相談(子ども用):#7300 または 0120-86-3192(24時間)
  • 同(保護者用):048-556-0874
  • 県立総合教育センターの面接相談(予約制・無料):048-556-4180(平日9時〜17時)
  • さいたま市の教育相談室:北 048-661-0050、堀崎 048-688-1414、あいぱれっと 048-711-5433、岸町 048-838-8686、美園 048-711-7215、岩槻 048-790-0227(平日9時〜17時)

出典:埼玉県「電話・メール・面接による教育相談」、さいたま市「不登校・教育相談」(2026年11月2日確認)

フリースクールの一覧を探すとき

埼玉県は「不登校の子供とその保護者を支援する民間活動団体・施設」の一覧を公表しています。不登校の子が指導や相談を受けた団体のうち、掲載の許可があったもので、地域別に97団体が載っています。さいたま市も、市立の小・中学生が通っていると学校から報告があった施設のうち、掲載の許可を得たものを「フリースクール等一覧表」で公表しています。

どちらも、県や市が団体を評価・推薦するものではないと書かれています。一覧で候補を見つけたら、見学して子どもとの相性を確かめてください。県は、フリースクールや親の会が相談ブースを出すセミナーも開いています。

出典:埼玉県「民間活動団体・施設の一覧」、さいたま市「フリースクール等一覧表」、埼玉県「不登校児童生徒への支援」(2026年11月2日確認)

フリースクールを選ぶときに確かめること

フリースクールは、施設ごとに考え方も過ごし方も大きく違います。見学や体験のときに、次の点を確かめておくと比べやすくなります。

見学・体験で確かめること

  • 子どもが自由に過ごす時間が中心か、学習の時間が決まっているか
  • 通える曜日と時間、週に何日から通えるか
  • 月謝・入会金・教材費・活動費と、補助の対象になるか
  • 在籍校との連絡のしかたと、出席扱いの相談に応じてもらえるか
  • スタッフの人数と、相談できる専門職(心理職など)がいるか
  • 家からの距離と通い方、送り迎えが必要か
  • 高校進学など、その先の進路の相談ができるか

いちばん大切なのは、子ども本人が「ここなら行ってみたい」と思えるかどうかです。最初から1つに決めず、いくつかの施設を見学してから選ぶと、子どもに合う場所を見つけやすくなります。

中学校を卒業したあとの進路

中学生の場合は、その先の高校進学もあわせて考えておくと安心です。埼玉県の県立高校では、不登校の生徒などを対象にした特別な選抜があり、出願には在籍している中学校の校長の認定が必要です。自分のペースで学べる通信制高校を選ぶ人もいます。

埼玉県の通信制高校のキャンパスと学費の目安は、「大宮の通信制高校一覧」でまとめています。全国の地域別の一覧は「通信制高校の一覧を地域から探す」から探せます。

出典:埼玉県「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」(2026年11月2日確認)

よくある質問

埼玉県でフリースクールの利用料の補助はありますか?
埼玉県とさいたま市には、小・中学生向けの利用料の補助はありません(2026年11月時点)。吉川市には利用料の助成がありますが、対象は義務教育を終えてから30歳未満の若者です。
フリースクールに通った日は出席になりますか?
在籍校の校長が判断します。保護者と学校の連携や、施設に通って相談・指導を受けていることなどが要件で、埼玉県のガイドブックにまとまっています。まず担任や校長に相談してください。
フリースクールの費用はどのくらいですか?
施設ごとに違います。文部科学省の調査(平成27年)では、月額の会費の平均は約3万3千円、入会金の平均は約5万3千円でした。
お金をかけずに通える居場所はありますか?
県内の全市町村に教育支援センターがあり、利用料は基本的に無料です。参加している市町村なら、自宅から「埼玉県メタキャンパス」も使えます。
フリースクールの一覧はどこで見られますか?
埼玉県が民間活動団体・施設の一覧を、さいたま市が「フリースクール等一覧表」を公表しています。どちらも県や市が推薦するものではないので、見学して確かめてください。

中学生で、高校受験のときの欠席や内申の扱いが気になる場合は、「不登校でも高校受験はできる?」で、47都道府県の公立高校入試の配慮の制度を比べています。

まとめ

埼玉県では、小・中学生がフリースクールに通う費用の補助は今のところなく、費用は家庭の負担になります。一方で、全市町村の教育支援センター、2026年4月に開校した学びの多様化学校、自宅から参加できるメタキャンパスなど、公的な居場所は広がっています。

フリースクールを検討するときは、県や市の一覧で候補を探して見学し、通い始める前に在籍校へ相談して、出席扱いの手続きを進めておくと安心です。

この記事の制度・数字は、2026年11月2日に埼玉県・埼玉県教育委員会・さいたま市・吉川市・川口市・文部科学省の公式ページと資料で確認したものです。

この記事を書いた人

Weblioエデュ編集部は、塾選び・受験・学校選びなど、学びにかかわる選択のための情報を調べて整理する編集チームです。入試の制度や倍率は教育委員会などの公的な資料で、塾や学校の情報は各事業者の公式サイトで1件ずつ確認して記事を作成しています。編集部には、塾に通わず独学で偏差値を20あげて第一志望の大学に合格をしたメンバー、個別指導塾で教えたメンバー、親として子どもの塾選びと中学受験を経験したメンバーが在籍しています。運営はGRASグループ株式会社です。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次